モンティ・ホール問題は屁理屈?直感的な解説【わかりやすく簡単に】
モンティ・ホール問題の答えは、選択肢を変えた場合が2/3、変えない場合が1/3となります。直感的には、変えようが変えまいが1/2になると考えてしまいますが、これは誤りです。
数式を使った解説(条件付き確率がどうのこうの)や、表やコンピューターを使って視覚的に『ほら、選択肢を変えたほうが得でしょ』と言われても、なかなか納得しにくい問題です。特に数式を使った場合は、1/3もしくは2/3という正答を数学的に証明しただけであって、だからなんだ?という気分になります。
つまり、この問題で知りたいのは答えの妥当性ではなくて、なぜ1/2ではないのかということではないかと思います。そこで、このページでは、この点について考察したいと思います。
モンティ・ホール問題とは?
まず最初に、モンティ・ホール問題の問題文と答えの確認です。Wikipediaなどに書かれている内容の繰り返しになりますので、ご存知の方は読み飛ばして下さい。
問題
3つの選択肢の中に1つだけ当たりがあり、それを当てるゲームです。
プレイヤーの前に3つのドアがある。1つのドアには景品、2つのドアには、何もない(はずれ)。
プレイヤーはドアを1つ選択した後、選ばなかった残りの2つのドアの中から、1つだけハズレを知ることができる。ここでプレイヤーは、最初に選んだドアを残っている開けられていないドアに変更してもよいと言われる。
プレイヤーはドアを変更したほうがいいだろうか?
正しい答え
答えはドア(選択肢)を変更するです。変更した場合は確率が2/3(66.666…%)になりますが、変更しない場合は1/3(33.333…%)となります。
直感的な答え
確率が1/2(50%)になるというのは間違いです。
3つあった選択肢から選択肢が1つ消え、2択問題になったので、当たる確率は1/2になりそうです。例えば、この問題で、とあるクイズ番組で有名になった50:50(フィフティ・フィフティ)が使えるとします。50:50で選択肢は2つに絞られるので、当たりを引く確率は、どう考えても、1/2です。これは、選択肢が10個、100個でも同じで、選択肢が2つになったら、確率は1/2になるはずです。
考察
モンティ・ホール問題で尋ねられているのは、『正解を選ぶ確率』ではなくて、『プレイヤーが得する行動(選択可能な選択肢の数)』だと考えられます。3個の選択肢の中から2個選ぶことができるなら、そちらの方が間違いなく得です。
やや結果論的な説明ではありますが、そもそも、正解が1つしかないのに、正解を選ぶ確率が2/3になるというのはおかしい気がします。
司会者がいない場合
モンティ・ホール問題で仮に司会者がいないとします。そして、プレイヤーは1つのドアを選んだあと、選んでいない2つのドアを開けることができます。この場合、2つドアを開ける方が有利なのは間違いないはずです。
実際のモンティ・ホール問題では、司会者が図々しくも登場し、勝手にドアを開けます。この行為が問題を複雑にしていますが、抽象的に考えれば、プレイヤーが2つ選択肢を選んだのと同じことになります。
正解を選ぶ確率を尋ねられているのか?
問題文はあくまで『プレイヤーはドアを変更したほうがいいだろうか?』です。これこそ屁理屈と言えそうですが、ひっかけ問題みたいな感じです。モンティ・ホール問題で問われたのは、『かくかくしかじかな状況においてプレイヤーが取るべき戦略はなにか?』だったわけで、それはもちろん、選択肢を2つ選ぶということになります。
観客視点
観客の立場で考えたら、『プレイヤーが当たりを選ぶ確率』は1/2です。確率というのは、絶対的な存在であって、猿であろうが宇宙人であろうが、誰にでも当てはまるというのが常識なので、観客とプレイヤーの確率は一致すると考えてしまいがちですが…、実際は相対的なものであって、おかれた状況によって変わってしまいます。こういうのを主観確率と客観確率と言ったりします。
モンティ・ホール問題の答えに納得できないのは、おそらく、確率の普遍性みたいなものを無意識的に信じてしまっているからではないでしょうか。
屁理屈かどうか
「答えを選ぶ確率を尋ねたのではなく、プレイヤーがどうするべきか尋ねた」ということを言っている問題文が屁理屈っぽいので、答えも屁理屈っぽくなっているのかもしれません。そもそもが屁理屈というか、意地悪問題になっていたわけです。そして、この問題に潜んでいたのは、確率も人によって違うという、幸せは人それぞれみたいな、多様性だったわけです。