速度ポテンシャルと流れ関数のイメージ
流体力学に登場する速度ポテンシャルと流れ関数について、数式は使わずに、直感的なイメージをわかりやすく紹介します。
速度ポテンシャルとは?
言葉の通りですが、速度のポテンシャルです。下り坂にボールを置いたら、ボールはある速度で坂を下っていくはずです。これと同様に、流体の粒子を速度ポテンシャルの中に置いたら、ある速度でどこかへ流れていきます。つまり、速度ポテンシャルとは、速度を生み出すポテンシャル(潜在能力)という意味だと考えることができます。
ただし、具体的にどんなポテンシャルなのかはわかりません。よくわかりませんが、それだと話が進みませんので、とりあえずφと名付けます。φを微分すると速度になる、というような定義すれば、数学的な解析ができるようになります。
流れ関数とは?
こちらもそのままですが、流れの関数です。ψと名付けられています。関数という言葉に馴染みがない場合は、下記のページを参考にしてください。
あくまでイメージですが、速度ポテンシャルは等高線(山の高さを表わす線)です。速度ポテンシャルを山に例えると、流れ関数はその山に沿って転がっていくボールのイメージです。
厳密さについて
勝手に「φやψの微分は流体(粒子)の速度である」と定義しても、それが、ほんとうに流れの分析に使えるかどうかは、ちゃんと確かめる必要があります。この辺の話は数式で証明されていますので、特に気にする必要はありません。
メリット
「ある条件のもとで(ある条件を仮定した場合)」という制限はありますが、数式や微分を駆使すれば、流れを分析することができます。このとき、速度ポテンシャルは流れの中におかれた物体の形状であると考えれば、よりイメージを掴みやすいと思います。実際、速度ポテンシャルと流れ関数を合体した複素速度ポテンシャルは、翼まわりの流れの分析などに応用されています。