剥離とは【流体力学】
流体力学の剥離・はく離(separation)について解説します。
意味
物体表面に沿って流れていた流体が表面から離れ、逆流領域を形成している状態を剥離(separation)と呼びます。
剥離状態の流れは下の図のようになります。
図では左から右に流れが生じています。しかし、物体(翼)表面には逆流が生まれ、渦ができています。
風洞実験
上図は風洞実験で撮影された写真です。筋状の煙(もしくは染料)を使って翼周りの流れを可視化しています。
原因
剥離は物体表面の摩擦によって生じます。
ある速度をもった流体が、表面に沿って流れるにつれて、摩擦の影響を受けます。この摩擦によって、流体は運動エネルギー(速度)を失います。
流体が完全に運動エネルギーを失うと、物体表面付近には速度の低い領域が形成されます。この領域に表面よりも離れた位置にある流体が流れ込み、逆流や渦を生じさせます。
摩擦について
摩擦は粘性によって生じます。なお、非粘性流体を仮定している場合、剥離は生じません。
問題点
剥離を生じると抵抗が増します。剥離した状態の航空機や船舶、自動車にはより多くの推進力が必要になります。
航空機の場合、剥離は失速につながり、墜落の原因となります。
剥離制御
剥離の制御は境界層制御(boundary layer control)と呼ばれます。境界層制御は、境界層の吸い込み、吹き込み、乱流遷移という方法があります。