ニュートンの冷却法則とは【わかりやすく解説】
ニュートンの冷却の法則は物の熱の放出を示した法則(式)です。この法則についてわかりやすく解説します。
熱量
冷却法則は熱量の移動量と温度差の関係を表しています。ここではまずはじめに熱量について簡単にまとめます。
熱量(=熱)というのはエネルギーの一つです。そして、どれだけの熱エネルギーを持っているかを表すものが温度です。
単位
熱量の単位はJ(ジュール)が使われ、温度K(ケルビン)です。単位が違うものは、普通、イコールの関係にならないため、熱量と温度を同じものとして扱うためには、工夫が必要になります。
補足
熱量=温度差にならない理由として熱量や温度の単位を紹介しましたが、熱量の単位にはジュール以外に、カロリーもあります。また温度には℃などの単位があります。様々な単位があるわけですが、いずれにしても、熱量=温度差という関係にはなりません。
意味
冷却法則は物体から媒質に放出される熱量もしくは媒質から吸収する熱量と、温度差の関係を表しています。媒質というのは空気や水などです。物体というのは固体です。例えば、温めたマグカップなどが、ここでいう固体となります。そして温度差はマグカップと空気の温度の違いです。
この法則によれば、放出もしくは吸収される熱量は物体の面積の大きさと、物体の形状などで決まる定数によって変化します(詳細は「式」の項目で紹介)。
液体について
なお、物体が液体であってもこの法則が当てはまると考えられています。液体にも当てはまるというのが正しいのであれば、マグカップに入れたお茶が放出する熱量も、冷却法則で調べることができます。
例えば、コップに入ったお湯の場合、お湯は空気だけではなく、コップとも接しています。そのため、お湯から空気に直接放出される熱量だけではなく、お湯からコップに放出される熱量も考慮しないと正しい計算にはなりません。お湯→空気は液体→気体、そして、お湯→コップは液体→個体です。どの場合にも冷却法則が成り立つと考えることができますが、熱伝達率を決定しなければなりません。
式
冷却法則は微分方程式を使って次式のように表されます。
\[ -\frac{dQ}{dt}=αS(T-T_m) \]解説
熱量の移動量=温度差は、より細かく言うならば、決められた時間の中で移動する熱(熱量の時間変化)=二つの物の温度差です。ここで、決められた時間というのは、1秒間というのが一般的です。
この二つを同じものとして扱うためには、熱伝達率αと物体の表面積Sという数値が必要になります。
表面積が大きくなるほど、放出/吸収される熱量が増えるというのはわかりやすいと思います。また、物体や媒質によってすぐに温まるものと、そうでないものがあるというのも理解できます。この物体や媒質の違いを担っているのがαという比例定数です。
解
この微分方程式は数式的なテクニックを用いることで解くことができます。微分方程式を解くと、代数式(数値を代入するだけ)になり、具体的な数値を求めることができます。この解を使って、温度差と時間の関係をグラフに描くと、両者の関係は指数になっていることがわかります。
図
下の図は温度差と時間の関係を表した図です。時間がたつと、温度差がなくなっていきます。熱いものが空気中に置いてある場合、徐々に冷めていくということなので、経験的にも納得できます。その速度は、直線ではなく、カーブを描いているというのが、冷却法則の解からわかります。