片対数グラフと両対数グラフが直線になる理由
片対数グラフが直線になる理由、両対数グラフが直線になる理由をご紹介します。『直線になる理由』は、当然ながら、対数グラフで直線になる数式(対数の式)をグラフにしたから、あるいは対数が直線になるような目盛をつくったからです。
グラフの目盛について
片対数グラフはx軸もしくはy軸を対数目盛にしたグラフです。そして、両対数グラフはx軸とy軸の両方を対数目盛にしたグラフです。
対数ではない普通の目盛は線形目盛と呼ばれたりします。普通の目盛(線形目盛)は目盛が1増えたら、同じように目盛で表しているものも1増えます。例えば、物差しの場合、物差しの目盛が1増えたら、1cm増えることになります。2増えたら2cmであり、10増えたら10cmです。
しかし、対数目盛は1増えたら、目盛で表しているものが10倍に増えます。
細かい話ですが、物差しによって1目盛が1mmの場合も、1kmの場合もあります。あくまで例です。
直線の謎に潜む対数と指数の秘密
対数と指数は同じだと考えることができたりします。繰り返しになりますが、対数で増えるものを対数の目盛に書いているため直線になります。
指数関数と対数関数
下の式について考えます。この式は指数関数と呼ばれます。
\[ y=4^x \]上の式でxのことを指数といいますが、この指数xは下のように対数の形に変形することができます。
\[ x=\log_4(y) \]指数と対数は式の書き方が違うだけであって同じ関数です。対数で表された式をみれば、yを対数グラフで書いた場合に直線になる理由がわかると思います。つまり、対数で増えていくyを、同じように対数で増える目盛で書いているから直線になります。
片対数グラフ
指数関数(4のx乗)を片対数グラフに描くと下図のような直線になります。
下の図のy軸が対数目盛です。
べき関数と対数関数
下の式について考えます。この式はべき関数と呼ばれます。
\[ y=x^4 \]対数の形にすると次のようになります。
\[ 4=\log_x(y) \]xもyも対数の中に組み込まれています。
両対数グラフ
べき関数(xの4乗)を両対数グラフに描くと下図のようになります。
下の図ではxもy軸も対数目盛です。
指数関数の証明
以下の指数関数について考えます。
\[ y=a^x \]上の式の両辺に対数を表すlogを作用させます。作用というのは、言い換えるとlog()の()の中に入れるという意味です。
\[ \log(y)=\log(a^x) \]上の式は次のように変形することができます。
\[ \log(y)=x\log(a) \] \[ y=xa=ax \]指数関数を対数で表すと、式の形が直線の式(y=ax)と同じになります。つまり、指数関数を対数で書くと直線になるということになります。
yはlogが作用しているので対数目盛です。しかしxはlogが作用していない(logの外に出ている)ため、通常の目盛になります。
べき関数の証明
以下のべき関数について考えます。
\[ y=x^a \]指数関数と同様に、上の式の両辺に対数を表すlogを作用させます。
\[ \log(y)=\log(x^a) \]上の式は次のように変形することができます。
\[ \log(y)=a\log(x) \] \[ y=ax \]べき関数を対数で表すと、式の形が直線の式と同じになります。つまり、べき関数を対数で書くと直線になるということになります。
xもyもlogが作用しているので対数目盛です。