ボルテックスクーラー・チューブの原理と構造
ボルテックスクーラーは圧縮空気を用いたクーラーです。低温の空気をつくるため、ボルテックスチューブの原理を利用しています。
圧縮空気をボルテックスチューブに通すと、高温の空気と低温の空気に分離できます。低温側の空気を利用した冷却装置がボルテックスクーラーと呼ばれます。ボルテックスクーラーは可動部がなく冷媒も使いません。ただし、圧縮空気をつくるため空気源(コンプレッサーなど)が必要になります。以下では、ボルテックスクーラーの構造や原理をまとめています。
構造
ボルテックスチューブの構造は下の画像の通りです。
手前側が高温空気の出口、奥が低温空気の出口です。低温空気の出口付近にある2本の小さな円筒は圧縮空気の入口です。
ボルテックスチューブの構造:出典
原理
圧縮空気入口(下図の左)から入った空気は円筒の壁面に沿ってらせん状に流れます。なお下図では、画像左のベージュの矢印が圧縮空気を表しています。
スパイラル流のあるボルテックスチューブの壁付近は圧力が高くなりますが、中心部分は圧力が低くなります。中心と壁付近で圧力差が生じるため、圧縮空気は中心へと移動し、この時、圧縮空気が膨張して温度が下がります。
圧縮空気は壁の摩擦により、高温出口(図の右側)へ向かうにつれ速度が低下します。そのため、圧縮空気入口と高温出口では軸方向(図の左右方向)にも圧力差が生じます。この圧力差によって、冷えた中心部の空気は低温出口側へと移動します。残ったスパイラル流は中心部分を流れる低温空気からエネルギーを受け取り高温になります。そして、高温空気出口から排出されます。
ボルテックスチューブの流れ:出典
用途
工場の冷却装置や作業服に使われます。
- 冷却装置
プラスチック容器の加工、ポリエチレンフィルムの加工で冷却のために使われます - 作業服
造船所、鉄鋼およびガラス製造の工場で冷房作業服として使われます