温度勾配について【わかりやすく解説】
温度勾配の意味や計算方法、式、どういった場合に使われるのか(フーリエの法則)などを解説します。
概要
温度勾配は温度の差(温度の違い)であると考えることができます。しかしながら、温度勾配という言葉を使う場合は単なる温度差ではなく、温度差を距離で割った値を言います。例えば、A地点の温度がThotで、B地点の温度がTcoldだった場合、温度差ΔTはThot-Tcoldとなります。仮にA地点が那覇市で気温が20℃、B地点は札幌市で気温が5℃だった場合、温度差は15℃となります。
温度差が15℃であっても、それが、100kmも離れた地点なのか、それとも、5cmしか離れていないのかで、温度勾配は変わります。
式
温度勾配は温度差を距離で割った値です。以下のように表されます。ΔTは温度差、Δxは2地点の距離を意味しており、これは、微分のdTやdxとは異なります。なお、温度勾配はTgという記号で表されます。
\[ 温度勾配=\frac{ΔT}{Δx} \]ベクトル解析
ベクトル解析において温度勾配は次式のように書かれます。∇(ナブラ)やgrad(gradientの略)を使って簡略的に表されることがありますが、いずれも同じことを意味しています。
\[ (\frac{\partial T}{\partial x},\frac{\partial T}{\partial y},\frac{\partial T}{\partial z})=\nabla T=grad T \] \[ T=T(x,y,z) \]T=T(x,y,z)というのは温度がx,y,zの関数であるというように表現されます。これは温度がxの方向、yの方向、zの方向、つまり三次元空間んで変化するということです。T=T(x)はxの方向のみ、T=T(x,y)の場合は、温度がxとyの方向に平面的に変化することになります。時間も含める場合は、T=T(x,y,z,t)というように書きます。
勾配
ベクトル解析で使われる勾配という言葉は傾きや変化率という言葉に言い換えることができます。
時間変化
上記の内容は、xやyなどの位置に関する温度の勾配をご紹介しましたが、時間に関する温度勾配もあります。これは、熱伝導方程式になどに登場します。
フーリエの法則
温度勾配が登場する法則としてはフーリエの法則があります。この法則は、物体内を移動する熱量が温度差に比例するということを示しており、次式で表されます。式中のqは熱流束で単位は[W/㎡]です。また、λは熱伝導率という物性値です。
\[ q=-λ\frac{\partial T}{\partial x} \]熱が1つの物体や流体内部を移動する場合は熱伝導といいます。