働きながら大学院・博士号取得
社会人として企業に勤めながら博士号を取得することの難しさについてご紹介します。
社会人の場合は、企業の研究職などにつき、業務の一環として、博士号を取得するケースが多いです。完全にプライベートで、自分の興味の範囲の場合、働きながら博士を取得するのはかなり難しいです。
ケース分類
働きながら博士を取得するケースは次のように分類されます。
仕事
会社の方針などで、仕事の一環として博士号を取得するケースです。
勤務時間も研究に使うことができます。しかし、博士号取得だけが担当業務になるとは限らず、仕事を掛け持ちする場合が多いです。
個人
会社は一切関係なく、自分の意志のみで博士の取得を目指すケースです。
働きながらの場合は、プライベートの時間を研究に費やすことになります。
ケース分類表
働きながら博士を取得する場合、仕事か個人か、以外に、修士の研究テーマとの関係も重要になります。
仕事/個人 | 業務との関係 | 修士との関係 | 難易度 |
---|---|---|---|
仕事 | 一致 | 一致 | 低 |
個人 | 一致 | 一致 | 中 |
個人 | 不一致 | 一致 | 中 |
個人 | 一致 | 不一致 | 高 |
個人 | 不一致 | 不一致 | 高 |
上表はすべてを網羅しているわけでなく、代表的なケースのみとなっています。
「仕事」の場合は、業務に関係なく、修士の研究にも関係ない学位を取るケースはまずありません。
難しさ
仕事で博士課程に入る場合と、個人で入る場合について、難しさをまとめます。
仕事
業務の一環として博士号を取得する場合は、個人で取得するよりも難しくはありません。
ただ、確実に取得する必要があること、期日までに取得すること、などの条件がつきます。
重要なこと
上司や同僚の協力が重要になります。家庭のある方は、家族の協力も必要になると思います。
時間管理能力などのスキルも必要になりますが、当然のことであるともいえます。むしろ、そういった能力が備わっている方が、上司に選ばれていると思います。
社員が博士号を取得したところで、企業の売り上げが伸びるはずもないので、仕事で取得する方は大きな企業の研究職の方が多いと思います。
個人
会社と一切関係なく博士号を取得する場合は、時間の確保が大変むずかしいです。
勤務時間以外をすべて研究にあてれば、三年間で取得できる方もいます。
重要なこと
最も重要なことは、時間の確保です。
博士号を取得するためには、講義を受けて単位を取る必要もあり、土日だけではなく平日も時間を確保する必要があります。博士課程の在籍期間は5年の大学が多いので、どれだけ時間がかかっても5年以内に取得する必要があります。
そして、短期間で取得するためには、研究テーマも重要になります。
例えば、修士を取得したテーマの延長などであれば取得しやすくなりますが、全く勉強していないテーマの場合は、学士レベルからやり直す必要があります。
仕事をやめた場合
仕事であっても、個人であっても、研究などの時間確保が重要になることは間違いありません。
ただ、仕事をやめて時間を確保しても確実に博士号が取得できるわけではありません。
そもそも博士号は難しい
30代前半になって、勤めていた会社を辞め、国立大学の博士課程に入った方もいます
この方は、学士や修士で勉強していなかった研究内容の研究室(修士との関係が一切ない研究室)に入りました。
結果、5年たっても博士号は取得できず、退学扱いとなりました。
この方は、その後就職しましたが、大学院在籍の5年間が評価されることはないようです。このような結果になった原因は、なんとなく博士号が欲しい・とりあえず研究職に就きたい、という理由が影響しているようです。
この記事のまとめ
働きながら博士号を取得する難しさをケース別にまとめました。
博士号を取得する意味
社会人になってから博士号を取得するのは非常に大変です。
少なくとも3年は、プライベートを削るなどして努力することになります。そのため、自分なりに、目的を明確にしておく必要があります。
他人からみると趣味としか思えないケースもあります。自分の仕事のキャリアなども見直し、本当に必要かどうか考えるべきです。