熱伝達と熱伝導の違い・決め方などの解説
熱伝達と熱伝導の違いについてです。どちらも熱が伝わることを意味しますが、物質同士の熱のやり取りは熱伝達と呼ばれます。
熱伝導と熱伝達の違い
熱伝導は物質の内部を熱が伝わる現象です。対して熱伝達は固体と流体の熱のやり取りを意味します。
熱伝導の早さを表す熱伝導率は物性値です。一方、熱伝達の早さを表す熱伝達率は流れや固体表面の状態によって変化するため、物性値ではありません。
鍋に火をかけてお湯を沸かすとき、鍋の熱の伝わり方は熱伝導です(鍋はすぐに熱くなるので、あまり実感はわかないかもしれません)。これに対して、鍋から水への熱の移動は熱伝達と呼ばれます。
熱伝導とは
熱が同じ物質内を伝わる現象です。熱伝導の早さは熱伝導率によって決まります。熱伝導率は物性値のため、物質によって異なりますが、一般的な物質の数値は広く知られています。
熱伝導率 [W/m・K] | |
---|---|
空気 | 0.024 |
水 | 0.582 |
氷 | 2.2 |
熱伝達とは
熱が伝わる現象そのものを熱伝達と呼ぶ場合もあります。熱伝達、すなわち熱の伝わり方には、熱伝導(Conduction)、対流(Convection)、放射(Radiation)の3種類があります。
上の図のAdvectionは移流を意味します。熱伝達ではありません。
熱伝達率
熱流体力学には熱伝達率と呼ばれる係数があります。これは、固体と流体の熱の伝わりやすさを表す係数です。
熱伝達率は物性値ではありませんので、状況に応じて、その都度求めるような数値となります。決め方としては、下記のような方法があります。熱流体解析に用いられる手法です。