加重平均と平均の違いをわかりやすく解説

普通の平均(算術平均)と加重平均の違いや、加重平均でないと誤りになる場合を例題付きで解説しています。

加重平均を使うべきとき

平均点から平均を求める場合や比率から平均を求める場合は分母が異なるため、平均値を求めることができません。正しい平均値を求めるためには、加重平均を用いる必要があります。なお、実用的には、簿記の計算、金利の計算などで使われます。

例題

テストの点数を用いた例題です。
A村の子供二名と、B村の子供三名がテストを受けました。結果はA村とB村の『平均データ』と、五人個別の『詳細データ』に分けてみました。

平均データ

このデータにはテストを実施した村の平均点(算術平均点)とテストを受けた子供の人数のみが記録されています。それぞれの点数はわかりません。

平均 人数
A村 50 2
B村 60 3

詳細データ

テストの点数がすべて公開されています。個別の点数を把握することができます。

名前 点数
Q君 40 A村
R君 60 A村
Xさん 100 B村
Yさん 60 B村
Zさん 20 B村

平均

平均(算術平均)を計算します。
平均データの場合、aがテストの平均点数、nが村の数です。詳細データの場合は、aがテストの点数、nはテストを受けた子供の総数です。

\[ m=\frac{a_{1}+a_{2}+\dots+a_{n}}{n} \]

平均データによる計算

平均データを使って平均を求めた場合、点数は55点になります。

\[ \frac{50+60}{2}=55 \]

詳細データによる計算

詳細データを使って平均を求めた場合、点数は56点になります。これはテストを受けた子供の平均点となります。

\[ \frac{40+60+100+60+20}{5}=56 \]

平均データを使った算術平均の計算(答えが55点になった計算)は、テストを受けた子供の平均点としては誤りです。これはA村とB村でテストを受けた子供の数に差があるためです。
正しく平均を求めるためには加重平均を計算する必要があります。

加重平均

加重平均を計算します。
平均データの場合、aがテストの平均点数、nが村の数、そして、xが子供の数です。詳細データの場合はxが全て1になります。

\[ m=\frac{a_{1}x_{1}+a_{2}x_{2}+\dots+a_{n}x_{n}}{x_{1}+x_{2}+\dots+x_{n}} \]

平均データによる計算

平均データを使った場合であっても、点数は56点になります。

\[ \frac{50\times{2}+60\times{3}}{2+3}=55 \]

詳細データによる計算

詳細データを使った場合も、点数は56点になります。

\[ \frac{40+60+100+60+20}{1+1+1+1+1}=56 \]

(40や60すべてに×1が加わっています)

注意点

50と60の平均が55であるというのは間違いではありません。しかし、ここで紹介した例題の場合は、分母が違うデータから平均点を求めるときに、加重平均を使っていないため、誤りが生じています。

平均点、回答率など、どれだけの人数から求めた値か(分母がどれだけか)という情報が抜け落ちたデータの平均には、注意が必要です。

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