空調の動作原理である冷凍サイクルについて、仕組みや主要部品の役割などをわかりやすくご紹介します。
冷凍サイクルは特殊なガスを気体から液体にしたり、逆に液体から気体に戻すことで熱を移動させる仕組みです。ガスが気体→液体→気体→液体→…と変化するため“サイクル”とよばれます。ここでいう特殊なガスというのは、冷媒とよばれます。あまり身近ではないかもしれませんが、家庭にある冷蔵庫やエアコンの中に必ず入っています。難しく言うと、冷媒の循環を理想化・単純化したものを冷凍サイクルと呼びます。冷凍サイクルという言葉は、空調などの動作原理という意味で使われる場合が多いです。
仕組み
冷凍サイクルにとって重要な部品だけを取り出すと、下の模式図のようになります。
冷媒と呼ばれる特殊なガスは、下の図のパイプ(配管)の部分を循環しており、液体や気体に変化しながら、空気を冷やしたり温めたりしています。

主要部品の構成
上の模式図では1:凝縮器、2:膨張弁、3:凝縮器、4圧縮機となります。
| 番号 | 部品名 |
|---|---|
| 1 | 凝縮器 |
| 2 | 膨張弁 |
| 3 | 蒸発器 |
| 4 | 圧縮機 |
主要部品の解説
上の模式図で紹介したそれぞれの部品は、配管でつながっており、配管の中には冷媒が充填されています。ここで紹介した主要部品の構成は、あくまで冷凍サイクルの構成部品ですので、実際の家庭用エアコンや、オフィスにある業務用エアコンの構造はもっと複雑です。上記以外で主要な部品としては、制御用の電気部品、風を発生させるファンなどがあります。以下では主要部品の役割をご紹介します。
圧縮機
圧縮機は、気体の状態の冷媒を圧縮し、圧力を上昇させます。この時、圧力だけではなく、温度も上昇します。圧縮機は液体を圧縮すると壊れてしまいます。そのため、冷蔵庫やエアコンの配管には、液体を圧縮しないようにするため、気液分離機と呼ばれる部品が取り付けられています。
凝縮器の役割
圧縮機で高温になった冷媒に送風機で風をあて温風をつくります。冷媒は、温度が下がり、液体に変化します。室外機の背面などから見える放熱フィンは凝縮器の一部です。配管は、このフィンを貫くようにしています。
冷暖房が可能なエアコンの場合、暖房時は、室内機が凝縮器になります。しかし、冷房の時は、室外機が凝縮器になります。
この切り替えは、圧縮機から吐き出される冷媒を室内機に送るか、室外機に送るかを切り替える部品(四方弁)によって実現しています。
冷暖房の切り替えが必要ない冷蔵庫にはついていない部品です。
また、四方弁がないエアコンは、冷房しかできないエアコン:クーラーとして販売される場合が多いです。
膨張弁
膨張弁は冷媒を蒸発しやすくしています。膨張弁によって、液体の冷媒は、霧状になり、圧力が下がります。また、膨張弁には流量を調整する役割もあります。
蒸発器
液体の冷媒に風をあて、冷風をつくります。冷媒は液体から気体に変わる際に、周囲の温度を奪うため、冷風が生じます。
冷房時は室内機が蒸発器、室外機が凝縮器になります。暖房時は逆になります。
送風機
蒸発器や凝縮器に風をあて、温風や冷風をつくります。室外機は扇風機とな時ようなファンが取り付けられています。家庭用エアコンの室内機は、クロスフローファンという筒状のファンが入っています。