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膨張弁とは|減圧の仕組みと構造などをわかりやすく解説

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膨張弁は家庭用エアコン、カーエアコンなどの空調に使われる機械部品です。細い管を巻いたキャピラリーチューブなども膨張弁の一種です。膨張弁には、圧縮機で高温高圧になったガス冷媒を減圧する役割があります。膨張弁を通った冷媒は霧状にもなるため、蒸発しやすくなります。なお、膨張弁には、減圧の効果以外に、流量を調整する役割もあります。この記事では、そんな膨張弁の仕組み、構造などをご紹介します。

構造

膨張弁は、冷媒が通過する流路の幅を調整し、減圧しています。下画像のような温度自動膨張弁の場合、青色のバルブが上下することで、隙間が狭くなったり広くなったりします。

膨張弁の構造 出典

上図の温度センサー(sensing bulb)は蒸発器の出口などに取り付けられます。温度よってダイアフラムが変化すると、バルブの上下が変化します。

種類

温度自動膨張弁以外にも、電子膨張弁などの種類があります。役割や仕組み同じですが、制御方式が異なります。
温度膨張弁は機械式ですが、電子膨張弁はマイクロコンピュータでバルブを制御しています。

仕組み(原理)

流体が狭い流路を通ると速度が増します。速度が増すと抵抗が増えるため、減圧する仕組みです。
流路を狭めて減圧するという仕組みは、キャピラリーチューブも同じ原理です。しかし、キャピラリーチューブは流路の大きさを制御できないため、流量を調整する機能がありません。

減圧の原理

冷媒の流れを極めて単純化してベルヌーイの定理をあてはめたとすると、速度(動圧)が上がれば圧力(静圧)は下がるというのがわかります。これはノズルやオリフィスの効果と同じです。ノズルは、流体を高速で噴出させるための構造です。ノズルの逆はディフューザー(広がり管)と呼ばれます。ディフューザーは、流体を減速させ、圧力を高めます。

二相流の場合

膨張弁を通る冷媒は気体と液体が混ざった気液二相流となる場合もあります。下記参考文献で、実験結果などが紹介されています。

P-h線図で表した膨張弁の効果

膨張弁による減圧効果は、下のP-h線図において3→4の経路を意味します。

Ph線図
P-h線図:出典
経路要素
1→2圧縮機
2→3凝縮器
3→4膨張弁
4→1蒸発器